Monologue of HACHI

当時
デビューして3年目を迎えたトラネスは
シングル アルバム 共にミリオンセラーで

ボーカルのレイラの日本人離れした声量と
音域の広さは群を抜いていて

その曲のほとんどをレンが書いていた


Monologue of HACHI

その日
ライブが終わるまでの2時間余り
あたしは まるでレンの一人舞台でも見るように
レンの姿だけを目で追って
レンがナナの存在に気づいてくれるように
ひたすらテレパシーを送り続けた

時々レンが
こっちを見てくれてる気がしたけど
その目はすぐに
どこか別の所へ向けられてしまった

届かないのかな
やっとここまで来たのに


REN

ヤス!
ナナが来てる!


YASU

舞台から飛び降りて抱きしめてやれよ


REN

今さら
どのツラ下げて会えってんだ


YASU

もう聞き飽きたよ
そのセリフは
いいかげんつき合いきれねぇ

もう会う気がねぇんなら
ナナはおれがもらう


NANA

ふざけんな ハゲ
レンに何言ったか知らねぇがよけいなお世話なんだよ
今さら あいつと話す事なんか何もない


YASU

話す事がねぇならレンに直接そう言えよ

レンと暮らしてたあの部屋の鍵も
レンの首に巻きついてる鎖の鍵も
いらねぇんなら
さっさと捨てちまえ
それで全部終わりだ

二度と抱けねぇ女の面影に
縛りつけられてるあいつの身にもなれ


NANA

わかったよ
レンの携帯の番号
教えて

待つのは性に合わねぇんだ


REN

その子はおれが呼んだんだ
見逃して


NANA

レン…
放せ!
あたしは あんたとやり直す気はねぇんだ!


REN

会いたかった…


NANA

来るんじゃなかった…


NOBU

なんだよ ヤッさんばっかり
レンと2人でこそこそツルんで
いーっつも おれ仲間外れじゃん


YASU

レンはおまえに合わす顔がねぇんだよ


SHIN

やっぱりうしろめたいんだ
ブラスト抜けた事


YASU

あいつ最初はトラネスの誘いも断ったんだよ
したらタクミが おれに連絡して来てさ
で おれがレンを説得したんだけど
なんか自分の事
すげぇ裏切り者みたいに思ってんじゃねぇの?


NOBU

そんな昔の事にこだわる必要ねぇのに


SHIN

そーいやさ ヤッさん
さっき電話でレンの事
挑発したって言ってたけど何言ったの?
どーゆー策略?
後学のために教えてよ


YASU

別に策略なんかなんもねえって
分からない?
おれのアホさかげんが


SHIN

頭いいじゃん


YASU

頭じゃなくて
おまえもまだまだ青いね


Monologue of HACHI

あの頃のあたしはもう二度と
恋なんかしたくないと思ってた

だけど どんなに傷ついても苦しくても
もう一度夢を見ようって
誰かを心底愛してみたいって

あの夜 ナナの幸せを祈りながら
そんな風に思ったんだよ


Tweets

ナナを残して上京してしまったレンの代わりに、いつもナナを守ってきたヤス。
2人の想いを痛いほど知っていたから、わざと挑発した。
また昔のように寄り添えるようにと…
意地張ってばかりの不器用な2人だから、あいだに入っているヤスは本当に苦労するね。
でも、ヤスがレンに言った言葉って意外と本気だったんじゃないかな…