Monologue of NANA

ケンカするほど仲がいいなんてよく言うけど
ケンカなんて結局エゴのぶつけ合いだし
本音をさらけ出したところで
人は分かり合えるものでもない

傷つかずに生きて行く事は たぶん不可能だけど
周りを傷つけずに生きて行く努力はしなければと思った

なんだか無性にそう思った


E-mail of HACHI

昨日は電話ありがとう
すごくうれしかったのに
突然切ったりして本当にごめんなさい…
あのあと色々考えて
あたしはどうしても
シンちゃんに話しておかなければならない事があると思いました
シンちゃんに聞いてみたい事もあります
今日の午後予定が空いてたら
どこかで会えませんか?

ハチ子


Monologue of NANA

あたしは たぶん
自分が歌で成功しない限り
トラネスのレンに対する複雑な思いを
消す事は出来ないよ

だけど会うと
結局いつも こうして流されてしまうのは

蓮を好きだから

すごく単純な事


REN

つーかグラスは
2つ共 割れてたんだよ


NANA

え?


REN

現場見てハチ子がショック受けて泣き出して
タクミは なだめるのが大変だったらしいよ?
その状況じゃおまえがぶちキレて割ったと思うのが普通だし
実際うっかり2つは割れねえだろ

ハチが黙って出て行きたくなるのは当然じゃねえか?
そんな大事にしてたグラスなら なおさらだろ
絶交言い渡されたと思い込むには充分の仕打ちだぞ


NANA

どうしよう
べつにそんなつもりじゃ…


REN

じゃー どーゆーつもり?


NANA

分からない…
自分がナゾ…


NANA

レン!
駅まで乗っけて!


REN

白金台駅?


NANA

いや そこの駅
グラス買わなきゃ


Monologue of NANA

何度思い返しても
なんて うかつな事をしたんだろうと思う
だけど強くなる雨脚と
傘を持ち合わせていなかった焦りが
早くハチに会いたいと思うあたしの衝動を高ぶらせた

レンの車はマンションのすぐ脇に止めてあって
走れば一瞬の距離だった

人の運命を狂わす引き金なんて
一瞬で引ける


NANA

302号室にトラネスのタクミが女と住んでるだろ!
隠さなくても知ってんだよ!
知り合いなんだから!


Monologue of NANA

有無を言わせぬ一刀両断
いかにもタクミが考えそうな追っ払い方だ

確かに ああ言われたら
自分の勘違いかと思うやつは大勢いるだろう

そして空室と思われている部屋で
フワフワ暮らすハチは
さながら自分が死んでいる事に気付いていない幽霊のようだ

タクミと生まれて来る子供の為だけにしか存在しない女だ

そんな人生が幸せとはあたしは とても思えない
ねえハチ
あんたはほんとにそれでいいの?


SHIN

それ ほんとにタクミの子供?


HACHI

たぶん


HACHI

どうしてシンちゃんが…
自分のお母さんが自分を産まなきゃよかったのにって
思うようになったか聞かせて欲しいの
あたしは自分の子供に…
そんな事 絶対思わせたくないの


SHIN

僕もハチの子供に生まれたかったな


HACHI

シンちゃん!
ノブは元気…?


SHIN

ギターばっかり弾いてるよ
うるさくて僕まで眠れない


NOBU

何 朝っぱらから自分のビデオ観てんだよ


SHIN

ううん
僕らがテレビに出てるんだ


Monologue of NANA

ぶ厚い雲が去って
突然スポットライトを浴びた あの日から
あたし達が立っていたのは
ステージじゃなくリングの上だった

歓声と罵声が
今も耳に残って
うるさいよ


Tweets

レンのバンドとしてのポジションは確かに今はトラネスだけど、
ナナと一緒にいるときはトラネスのレンではなく、本城蓮なはず。
地元で一緒にいたときと、なんら変わりなかったはず。
ナナはどうしてそれをもう少し分かってあげられなかったんだろう。
レンにとってナナはどんなときも大崎ナナだったのに、
ナナだけが本城蓮からトラネスのレンに変わってしまった。
また2人が孤独になる…