Monologue of NANA

あたしの夢は
バンドを成功させて日本中の人に自分の名前を覚えてもらう事だった

たとえ たった一人の人に呼んでもらえなくなっても


YASU

レン
おまえまたハマってんのか


REN

ごめん…
もー絶対やんねーから…


YASU

レン…
心配しなくても
おれはおまえからナナを奪う気はねぇよ


REN

そーだろうね

ヤスは昔からなんでもおれに譲ってくれるもん
人の事見下してむかつくよ


YASU

おまえはナナがいねえと結局こうなるんだ
不安定で見てらんねえ

ナナもおんなじなんだよ!


REN

やっぱりなんかやってんの あいつ
変だよね?


YASU

やってねえよ
でも このまま放っといたらどうなるか分かんねぇぞ

奈々ちゃんの一件で気づいたんだ
あいつは たぶん母親に置き去りにされた事が
相当トラウマになってる

おまえには この業界は向いてねえし…
つくづく無理に上京を勧めたりするんじゃなかったよ…

もう無理するなレン
おまえはおれやタクミとは違うんだ
理屈で物を考えずに自分の思う様にやれよ
そんなんじゃ
どの道 長くは続かねえぞ


REN

そんな怒んなって
悪かったよ
一か月も放置して


NANA

いや別に怒っちゃいないけど
それはお互い様だし…


Monologue of NANA

けじめ
つけなくちゃ

こんな風に たまに会って
お互いの事話したり 抱き合ったり
そんなクールな恋愛ドラマみたいな付き合い方
あたし達にはやっぱり無理だ

ずっと一緒にいられないなら
終わらせた方が楽になれる
レンだって きっとそう思ってる


REN

ちょっと話があるんだけど
時間ある?


SHIN

レイラさんのしたい事を
「偽らずに目を見て話」?


LAYLA

してあげるのと
してもらうのは意味が違うよ


REN

ナナ…


NANA

なんだよ
さっさと言えよ
息が詰まって死ぬ


REN

結婚して


Monologue of NANA

あたしは子供の頃
自分は誰にも愛されない人間なんだと思っていた

だから16の冬
レンと結ばれた時は
何か とてつもなく幸福な夢を見ているようで現実味がなかった

愛する人に愛されるなんて
あたしには 奇跡だ

運命の相手だと思った


REN

死ぬときゃ
道連れだぞ


NANA

じゃー殺して…


NANA

いや全っ然ラブラブじゃねぇよ!
あいつが勝手に忍び込んでただけで…


YASU

ナナ
レンがイキがっててもガキの頃のまんまなんだから
ちょっとは優しくしてやってよ
頼むからさ


Monologue of NANA


そうか
ヤスが人畜無害なのは
別に悟りを開いてるからでも
あたしを妹扱いしてるからなわけでもない

あたしが他でもない
レンの女だからだ

なんでこんな分かりやすい相関図に気づかなかったんだろう

ヤスが捨て身であたしを守ってくれるのは
身動きの取れないレンのフォローだ

ヤスはあたしより
レンとの絆の方が遥かに強い
レンが生まれた時から一緒だったんだから
同じ施設で

たったひとつの頼みの綱が切れた
どうしようもなくレンに溺れて行くあたしの苦しみなんて
誰も救ってなんかくれないんだ

レンにしか救えない

逃れられねえ運命か


HACHI

人に作ってあげて喜んでもらうのが好きなのかな
こんなあたしでも少しは役に立ってる気分になれるから


JUNKO

じゃー全ては教祖様のおかげかな
あんたとタクミを出会わせてくれたのもナナちゃんなんでしょ?

なんだかんだ言ってたけど
今までで一番幸せそうだよ? 奈々

前より地に足が付いてる感じがするもん
安心した


Monologue of NANA

ねえ ハチ

あんたとタクミを会わせた事を
あの頃あたしは心底 悔やんでたけど

もし あんたが今もあの男のそばで
幸せに暮らしているのなら
少しは あたしも救われる

たったひとつの頼みの綱だよ


Tweets

ナナも繊細で弱いけど、レンもかなり繊細。
この2人はお互いの存在が精神安定剤みたいになってる。
だからそれを断たなくてはいけなくなってしまった2年前から
ナナはヤスに依存して、レンはクスリに手を染めた。
ヤスはそんな2人をいつも静かに見守ってきたけど、ずっと後悔してきたのかもな。
レンに上京を勧めたことに責任を感じていたのかも。