Monologue of HACHI

レイラとシンちゃんの合同誕生会の会場は
鎌倉の別荘地にあるありえないような豪邸で
招待客は100人はいるんじゃないかと思う程
豪華絢爛なものだった

いったい どのへんがホームパーティーなんだろう
セレブの感覚は やっぱりよく分からない


NANA

やっぱりここにいたんだ
自分だけさっさと逃げやがって


REN

あれじゃおれ達の婚約祝いパーティーだよな
レイラとシンの為にも消えた方がいいと思ってさ


NANA

ほんと 失礼なやつばっかだよ
誰もCDの出来については語ってくれないし


REN

それを覚悟で会見に挑んだんだろ?


NANA

そーだけどさ


REN

後悔してるの?


NANA

しないよ
そんな意味のない事


E-mail of NOBU

来てくれたんだ
ありがとう
シンが喜ぶよ


NAOKI

タクミ!

ごめん!
おれが誘ったんだよ!
ハチ子は悪くないから怒らないで!


TAKUMI

仕事の関係者が集まるパーティーは
おれにとっちゃ仕事の場なんだよ
おまえとの事はごく内輪のスタッフしか知らねぇし来られても困るんだけど

なんでそれ位分かんねぇの?


HACHI

でも誰にも名乗ったりしないから
シンちゃんとレイラさんに一言だけお祝い…


TAKUMI

そんなの電話かメールで済むだろ?


Monologue of HACHI

泣くな
あたしに泣く資格はない

タクミは何をやっても人並以上の男だけど
人として大事な情がない
分かっててあたしはタクミを選んだんだから

でもタクミの言うなりになってたら
あたしまでどんどん冷たい人間になっちゃうよ


YASU

うちの客だ

おまえの勝手にゃさせねぇよ


YASU

よく来てくれたな

行こう
シンが探してたぞ


Monologue of HACHI

タクミと築いて行く未来は
自分なりに悩んで選んだ道だから
後悔なんかしたくないのに
引き換えにしたものの大きさに今更気づいたよ


TAKUMI

おまえ このライター
レイラに貸してたろ


SHIN

え?
貸した覚えないけど


TAKUMI

限定品だろ
シリアルナンバーが同じだ

切り返しに何秒かかってんだよ
かまかけただけだ
顔に出すな

バレたら ただのゴシップじゃ済まねぇぞ
おまえが16ってだけでもヤベぇのに
調子こいてウリやってたのがほんとなら事態は最悪だ
とばっちりでレイラは一巻の終わりだよ

せめて18になるまで我慢しろ
愛があるなら出直してくれ


HACHI

シンちゃん
お誕生日おめでとう


SHIN

ハチ
こんなとこ来てタクミに怒られないの?


HACHI

平気だよ
シンちゃんの誕生日も祝わせてくれないような
男とはママは結婚なんかしないから


Monologue of HACHI

捨て身の勝負だよ

これでタクミに捨てられたら
今度こそ実家に泣きつこうか
それが一番楽で安全な道だけど
出来るなら仕事を見つけて707号室に帰りたいな

お金は最低限あればいいから
優しい仲間が集まるあの部屋で
めいっぱい愛情をかけて子供を育てたい

父親なんかいなくても きっと明るくて素直な子になるよ
顔はタクミ似かもしれないけど
ノブみたいな


LAYLA

タクミは仕事 最優先だから
色々冷たい事言うと思うけど悪気はないから許してあげてね
外には敵が多いから味方になってくれる人が必要なの

仕事離れて家に帰ったら
きっとすぐ機嫌直るよ
気にしないでパーティー楽しんでね

シンちゃんもお誕生日おめでとー


Monologue of HACHI

歌うための声を神様に与えられて
生まれて来たとしか思えないトラネスのお姫様は
眩しい位 美しくて
その上 優しくて
タクミの事をよく分かっていた

あんな完璧な宝物を常に傍らに置いて
守る事に気を取られてるから
タクミは他の何も心から大切に出来ないんじゃないのかな

そんな気がした


REN

ナナ

おれ おまえの事
そのうちほんとに殺すかも

どーしよう


NANA

三途の川で待っててやるよ


Monologue of HACHI

ねえ ナナ

あたしは どんな人ごみの中でも
ナナがどんな姿をしていても
ナナを見つける自信があるの

だから どんな悲しい日でも
うつむいて歩く事は出来ないよ

あたしの探しているゴールは
その手の中にあるの


Tweets

ナナとレンの会話の中には、いくつか「死」いう言葉が出てくる。
「あたしが死んだら一緒に死んでくれる?」
「死ぬときは道連れだぞ」
今回もそうだけど、この2人は本気でそういう会話ができる。
こういうところがシンちゃんの言うエキセントリックなんだろうね。
実行するかは別として、お互いに引くことなくここまでになれる関係なら羨ましい。