レイラとシンちゃんの合同誕生会の会場は
鎌倉の別荘地にあるありえないような豪邸で
招待客は100人はいるんじゃないかと思う程
豪華絢爛なものだった
いったい どのへんがホームパーティーなんだろう
セレブの感覚は やっぱりよく分からない
やっぱりここにいたんだ
自分だけさっさと逃げやがって
あれじゃおれ達の婚約祝いパーティーだよな
レイラとシンの為にも消えた方がいいと思ってさ
ほんと 失礼なやつばっかだよ
誰もCDの出来については語ってくれないし
それを覚悟で会見に挑んだんだろ?
そーだけどさ
後悔してるの?
しないよ
そんな意味のない事
来てくれたんだ
ありがとう
シンが喜ぶよ
タクミ!
ごめん!
おれが誘ったんだよ!
ハチ子は悪くないから怒らないで!
仕事の関係者が集まるパーティーは
おれにとっちゃ仕事の場なんだよ
おまえとの事はごく内輪のスタッフしか知らねぇし来られても困るんだけど
なんでそれ位分かんねぇの?
でも誰にも名乗ったりしないから
シンちゃんとレイラさんに一言だけお祝い…
そんなの電話かメールで済むだろ?
泣くな
あたしに泣く資格はない
タクミは何をやっても人並以上の男だけど
人として大事な情がない
分かっててあたしはタクミを選んだんだから
でもタクミの言うなりになってたら
あたしまでどんどん冷たい人間になっちゃうよ
うちの客だ
おまえの勝手にゃさせねぇよ
よく来てくれたな
行こう
シンが探してたぞ
タクミと築いて行く未来は
自分なりに悩んで選んだ道だから
後悔なんかしたくないのに
引き換えにしたものの大きさに今更気づいたよ
おまえ このライター
レイラに貸してたろ
え?
貸した覚えないけど
限定品だろ
シリアルナンバーが同じだ
切り返しに何秒かかってんだよ
かまかけただけだ
顔に出すな
バレたら ただのゴシップじゃ済まねぇぞ
おまえが16ってだけでもヤベぇのに
調子こいてウリやってたのがほんとなら事態は最悪だ
とばっちりでレイラは一巻の終わりだよ
せめて18になるまで我慢しろ
愛があるなら出直してくれ
シンちゃん
お誕生日おめでとう
ハチ
こんなとこ来てタクミに怒られないの?
平気だよ
シンちゃんの誕生日も祝わせてくれないような
男とはママは結婚なんかしないから
捨て身の勝負だよ
これでタクミに捨てられたら
今度こそ実家に泣きつこうか
それが一番楽で安全な道だけど
出来るなら仕事を見つけて707号室に帰りたいな
お金は最低限あればいいから
優しい仲間が集まるあの部屋で
めいっぱい愛情をかけて子供を育てたい
父親なんかいなくても きっと明るくて素直な子になるよ
顔はタクミ似かもしれないけど
ノブみたいな
タクミは仕事 最優先だから
色々冷たい事言うと思うけど悪気はないから許してあげてね
外には敵が多いから味方になってくれる人が必要なの
仕事離れて家に帰ったら
きっとすぐ機嫌直るよ
気にしないでパーティー楽しんでね
シンちゃんもお誕生日おめでとー
歌うための声を神様に与えられて
生まれて来たとしか思えないトラネスのお姫様は
眩しい位 美しくて
その上 優しくて
タクミの事をよく分かっていた
あんな完璧な宝物を常に傍らに置いて
守る事に気を取られてるから
タクミは他の何も心から大切に出来ないんじゃないのかな
そんな気がした
ナナ
おれ おまえの事
そのうちほんとに殺すかも
どーしよう
三途の川で待っててやるよ
ねえ ナナ
あたしは どんな人ごみの中でも
ナナがどんな姿をしていても
ナナを見つける自信があるの
だから どんな悲しい日でも
うつむいて歩く事は出来ないよ
あたしの探しているゴールは
その手の中にあるの
ナナとレンの会話の中には、いくつか「死」いう言葉が出てくる。
「あたしが死んだら一緒に死んでくれる?」
「死ぬときは道連れだぞ」
今回もそうだけど、この2人は本気でそういう会話ができる。
こういうところがシンちゃんの言うエキセントリックなんだろうね。
実行するかは別として、お互いに引くことなくここまでになれる関係なら羨ましい。