Monologue of HACHI

タクミは なるべく毎日帰ると言いながら
仕事を理由に帰らない日もよくあった
ほとんどは本当に仕事なんだろうけど
時々なんとなく嘘の匂いがした

100歩譲ってタクミに100人女がいたって構わない
あたしがその中の一番であればいい

一位の座をキープしてみせる
何がなんでも


TAKUMI

ごめんねー
どこにも連れてってあげられなくて


HACHI

この家にいるのが一番落ちつく
そーゆー家にしたいな


Monologue of HACHI

11月10日
あたし達の結婚記念日になるはずだった日

仕事を入れようと思えばきっと
いくらでもあったのに
タクミは白金の家にいてくれて
その思いやりがうれしかった


LAYLA

まいどー
芹澤軒でーす

気晴らしにマンションから駅まで歩いてみたんだけどね
騒々しくてよけい気が滅入って
結局タクシー乗っちゃった

あたしも車の免許が欲しいな


REN

ドライブでも行くか
どこ行きたい?


LAYLA


NOBU

行方不明!?


YASU

行方はたった今 分かったけどな


NOBU

四海に何か打つ手はないの?


YASU

金さえ用意出来りゃ済む問題じゃねぇだろ
やめたって出回ったビデオは一生残るんだよ
それを嫌がる男と一緒にいても
あの子が追い詰められるだけだ

奈々ちゃんがなんでタクミを選んだかを
もう一度よく考えろ


GINPEI

人生はやり直しがきくって人はよく言うけど
人間は積み上げた過去を土台に生きてるんだから
そう簡単にはいかないわよ

積み木を崩す事がやり直しだとも思えないし
踏ん張って積み上げて行けば
いつか理想の形になるのかしらね


REN

そろそろ初雪が降る頃だと思ってたんだ

おれが死んだら
遺灰はこの海に撒いてね


LAYLA

あ いーねそれ
あたしもそーして!


LAYLA

奥様がいるのに襲う気なのー?


REN

まだ結婚してねえって


LAYLA

してるようなもんじゃなーい


REN

そーなの?
おれは結婚の意味もよく分かんねぇからな
何の為の制度なの?


LAYLA

じゃあなんでプロポーズしたのー?


REN

それしか方法が思いつかなかったからー?


LAYLA

何の方法ー?
ヤブ蚊退治ー?


REN

ハゲ退治
ナナの心の中からヤスを追い出す方法

ガキっぽいよね
紙きれ一枚の契約に何の効力があるんだ
そんなもんで繋ごうとする程よけー虚しくなる

おれ ほんとはきっとナナに歌う事もやめて欲しいんだよ
それでずっとおれの横で
おれの事だけ考えてりゃいーのにとか思ってんだよ

おれ最近
本気でナナの事
殺したくなるんだ
そしたら永遠にナナがおれだけのものになる気がして

真面目にヤバイよ…

誰かおれを殺せよ…


Monologue of HACHI

ねえ ナナ

ナナの最後の言葉が
今も希望と絶望の間を行き来する

独り言みたいに 小声でつぶやいたよね

「海が見たい」


Tweets

苦しくて、寂しくて、どうしようもなくて…
結婚することで解決しようとした。
でもそんなことでは解決しないことは、レンが一番よくわかっていてまた苦しむ。
そんな選択をしてしまった自分もイヤになって絶望する。
明けない夜はないし、出口のない入口もない。
でもレンが入り込んでしまった迷路には出口がないように思える。
どうすれば抜け出せるんだろう…