Monologue of HACHI

ホテルの部屋でナナの帰りを待っている間も
ほのかにナナの匂いがして
ナナがそこにいるような錯覚を抱いた

その時初めて気づいた

ナナとレンは同じコロンを付けているんだ


YASU

おまえはなんか洞察力があるっつーか
人の内側を見てるとこがいいよ

おれは何考えてるか分かんねえってよく言われるから
そーゆー女じゃねぇと上手くやれねえんだ


MIU

ヤスがね
彼女でも作るかって決意して
誰がいいかなって冷静に考えて
こいつがいいなってあたしの事選んでくれたなら
そんな嬉しい事はないよ
あたしはそういう方が信頼出来るの

言ったでしょ?
あたしはヤスのそういう浮わついてない所が好きなの


Monologue of HACHI

ナナが部屋に帰って来て
シトラスの香りが2倍になって
はっきりとした佇まいを見せた

ナナとレンはやっぱり2人で1つなんだと思った


LAYLA

あたし達
今はもう会わない方がいいと思う


HACHI

ありがとう
でもあたしは大丈夫だよ

タクミがついてるし


NANA

そっか
そーだな


SHIN

分かった
もう来ないよ


LAYLA

シンちゃんを好きな気持ちは変わりないんだよ
電話もメールもするよ!
そのうちまた会えるようになるよ!


SHIN

会わないって決めたなら僕の事なんかもう忘れなよ!
僕の役目はレイラさんの寂しさを埋める事だ
会えなくてよけい寂しい思いをさせるんじゃ意味がないよ

レイラさんはもっと自分にふさわしい恋人を見つけるべきだ
僕もレイラさんとの事はもう忘れる
僕達の事はなかった事にした方がいいんだ


MIU

もしナナちゃんとレンが別れたら
あたしはどうなるの?


YASU

何も変わんねぇよ

そしたらおれはまた
あの二人が寄り添い合える日が来る事を願うだけだ

何度でもな


Monologue of HACHI

帰りのエレベーターで懐かしい人にすれ違った
だけど気のせいだった

今まで沢山恋をして
傷つく度 逃げ出して来たけど
これからは何があっても
タクミの事だけ想い続けて生きて行くんだ

ずっと変わらずに永遠に
ナナとレンみたいに


REN

レイラとは何もねぇよ
オフの日に一緒に里帰りしただけだ
おれがおまえ以外の女とヤルわけねぇだろ
嘘じゃねぇよ


NANA

でも抱き合ってた

雪の中で抱き合ってた!


REN

あれは防波堤にレイラを引き上げただけだ
あいつヒール履いてたし
雪で滑りそうだったし
大事な歌姫をケガさせるわけにゃいかねぇだろ!


NANA

あたし以外の女に曲なんか書かないで!


REN

おい…
どした


NANA

レン
助けて…


YASU

ナナが発作起こしたら二酸化炭素を送り込んでやれ


REN

二酸化炭素?
そんな難しい事 出来ねぇよ


YASU

簡単だよ
人間の吐く息は二酸化炭素だ

ナナの孤独を救えるのはおまえだけだ
頼むからしっかりしてくれ


REN

ナナ…
ほんとごめん…


NANA

死ぬ…
助けて…


REN

死なねぇよ
死なせねぇよ


Monologue of HACHI

ねえ ナナ

今でも時々街角で
誰かとすれ違いざまにナナの幻を見るの

ナナはきっと今も あの男物のコロンをつけている

独りでも眠れるように


Tweets

それぞれが守りたいものと、それぞれが相手に捨ててほしいもの。
今のレンとナナにとって捨ててほしいと思っているものが、相手にとって守りたいもの。
そんな2人が一緒にいてうまくいくわけがない。
でも別れるという選択肢も2人にはない。
一緒にいないことより、一緒にいることの方がつらいなんて地獄のようだ…