Monologue of NANA

明日は昼からまた移動で
誕生日は大阪で迎える予定だった

ハチと一緒にお好み焼きを食いに行けたら最高だなあなんて
酔いの回った頭の片隅で思った


LAYLA

ただいま電話に出る事が出来ませーん


TAKUMI

レイラ!
今すぐレンの家に来い!
バンド抜けるって言い出しやがった


REN

曲ならおまえが書いた方がイメージ通りになるんだし
おれが抜けてもそれほど困らねえだろ


TAKUMI

困るって
おまえはレイラと並んでうちの看板なんだし


REN

でもおれがいたら もっと困る事になると思うけど
おまえが捨て身で守ってる城を…
もう自分のせいで危険に晒したくねえ


TAKUMI

なんだ その事か

それなら大丈夫だよ
今おまえのスケジュール調整してるから
来週辺りからしばらく休めるよ


REN

知ってたんなら もうクビにしろよ


TAKUMI

なんでそーなるんだよ

そこまでバンドを大事に考えてんなら
やめるより更生する努力をしてくれよ


REN

でももう 自力で抜く自信ねえし…


TAKUMI

そんな弱気になるのは たぶん薬の副作用だ
病院にぶち込むわけにはいかねえんだから自分で


REN

でもナナが…


TAKUMI

ナナちゃんが何?


REN

ナナに会いてえ…


GINPEI

夢でレンに会えるわよ


NANA

会いたくねえよ!

もー 毎晩毎晩会いたくねえ


Monologue of NANA

歌う夢だけ見ていたいのに
みんながレンの話ばっかりするから悪ィんだよ

夢なんかで会っても
目が覚めた時 寂しいだけなのに


LAYLA

レンの事はあたしが見てるから
タクミはもう帰ったら?

かわいい奥様の所に


おまえと一緒にいたいんだよ


LAYLA

ふざけないで

タクミがあたしに本気でうんざりしてる事ぐらい分かってるよ
タクミが一緒にいたいのは少女の頃のあたしだって事も分かってる…

なのになんであんな事したのよ…
強姦罪で訴えてやるー!


TAKUMI

そこまで分かってて
おれの愛人になりたいっつったのはおまえだろ!

望み通りにしてやっただけだよ
これ以上どーしろって言うんだ


LAYLA

あたしが望んでるのはこんなんじゃないもん…


TAKUMI

じゃー 何がしたいんだよ!


LAYLA

昔みたいに仲良くしたい…


TAKUMI

ケンカ売って来たのは そっちじゃねえか…


LAYLA

心配しなくてもあたしは歌うよ!
あたしはタクミの為に歌ってるわけじゃないんだから!


REN

レイラ
あんなシスコンはほっとけ…


LAYLA

レン…?
ねえ どーしたの?
大丈夫…?


REN

もーすぐ 大丈夫


LAYLA

大丈夫じゃないよ!
こんな事続けてたら そのうち死んじゃうよ!?


REN

でもやめたら もう思うように指が動かねえ…
おれ これしかねえのに…


LAYLA

やめたらまた 動くよーになるんだよ…
どーすればやめられるの…?
あたしに何か出来る事はないの…?


REN

歌って…
レイラの歌声は…
この世で一番 気が紛れる…

でもナナは…
おれがおまえを抱いて眠るより…
おまえの子守歌で眠る方が…
嫌がるかな…


LAYLA

歌えないよ…


Monologue of NANA

その夜 見た夢は
レンが東京へ旅立つ日の昔話だった

寝ても覚めても迷っていた
レンのそばにいるべきかどうか


REN

おれ今は…
ナナに合わせる顔もねえっつーか…


HACHI

浮気でもしちゃった?


REN

だからそれが出来たら苦労しねえって


KINOSHITA

本城さん
ナナさん今 どこなんですか?


REN

大阪?


KINOSHITA

了解!


Monologue of NANA

ねえ ハチ

寝ても覚めても今も迷ってるの

レンのそばに行きたくて


Tweets

苦しい… 苦しくて息が詰まりそう…
レンの苦しみを受け止めたら、心臓をわしづかみにされたみたいに苦しくなって涙が出た。
タクミのように器用にもなれないし、
ヤスのように自分の欲求抜きで相手のことを思えるほど強くもない。
レンとナナが今も共有しているコアな部分を切り離したら、
2人の行き場のない想いも解放されて、ラクな道へ流れていけるのかな…