【百魔列伝】
ゴグマゴグは、時空の狭間から現れる巨人である。
時のさだめに逆らい、この世界から追放された強大な存在が、
時空の間隙の出口を求めてさまよう姿であるとされる。
彼は追放された時、その強大すぎる力を封じるため、あらゆる呪いをかけられた。
身体に刺さった無数の呪具や異様な模様は、その時の封印のあかしである。
【百魔列伝】
ゴグマゴグの正体を伝える古代の記録は、あまり見つかっていない。
ゴグマゴグと呼ばれる巨人は実は2体いるという説もあれば、個体ではなく種族の名であるとする研究者もいる。
ゴグマゴグは、時を超えようとして罰を受けたファルシであるという説もとなえられている。
この仮説は封印されてなお強大な力を持つ、この巨人の正体をうまく説明する。
【百魔列伝】
ゴグマゴグが探す時空の狭間の「出口」が何を指すのか、伝説に明確な答えはない。
彼が本当に望むのは自身の消滅だという者もある。
出口を見つけ、失われた己の「半身」と出会った時、ゴグマゴグは解放されるのだという。
伝説にはこんな断章も残されている。
「ゴグマゴグは、時の狭間でついに半身を見いだしたと思った。
だがそれは、過去にその場所を通った、自分自身の後姿だった」
【百魔列伝】
巨兵アトラスは、ビルジ遺跡から発掘された巨大兵器である。
使用テクノロジーはファルシのものとは異なり、むしろ人間の技術体系に近いことから、
未来世界からまぎれこんだ人造兵器だとする説が有力である。
クリスタルを用いた意思感受装置により制御することが可能。
大型ファルシとの戦闘を想定した兵器ではないかとも推測され、アカデミーで研究が進められている。
【百魔列伝】
アロアダイは、巨人ゴグマゴグの宿敵とされる。
故国を追放される原因となったゴグマゴグに復讐を果たすため、
時代と時代の狭間をさまよい続ける呪いを受けたと伝えられている。
この世界に生きる者すべてに憎悪を抱いており、
たとえ倒されても周囲の時空に強力な歪みを作り出し、相手もろとも消滅しようとする。
【百魔列伝】
ミュータントトマトはコクーンの自然保護エリア「サンレス水郷」で誕生した突然変異型プリン。
コクーン内部に露出したクリスタルの柱を侵蝕し、みずからの栄養とする生態が確認されている。
近縁種のプリンを取り込んで超大型化した個体が存在するとされ、「完熟大王」の俗称で呼ばれる。
証拠映像らしきものも発見されているが、研究者は実在を疑っている。
【百魔列伝】
デミ・ファルシ=アダムは、人の手で創造されたファルシである。
かつてコクーンを統御した存在「ファルシ=エデン」の記憶素子の一部が移植されている。
AF400年、外敵に対する防御機構が暴走し、アカデミア市民の滅殺を図ったが、
時の旅人セラ・ファロンの行動によりその存在を抹消された。
それは、人間の存在しない架空の楽園を夢見た、機械の反乱であったのかもしれない。
【百魔列伝】
ゼノビアは、強大なシ骸「六死将」の一柱である。
いにしえのグラン=パルスの都「ハリ」の廃墟を襲い、幾多の災禍をもたらしたのち、姿を消したとみられていた。
AF400年、デミ・ファルシ=アダムに時空の間隙から召喚され、時詠みの少女ユールに死をもたらした。
この瞬間は「予言の書」で予見されていたという。
【百魔列伝】
パコ・アメシストとパコ・ルブライトは、ヴァルハラで生まれたクリスタルの獣である。
アメシストの正体は、混沌の海に浮かぶ高純度の氷塊。
ルブライトは混沌の大地から噴き出した異界の炎である。
両者はある大きさまで成長すると、まるで意思を持つ獣のようにふるまう。
【百魔列伝】
プチネロ戦隊『ぷちぷちプリン』は、知性に目覚めた5種のプチネロが結成したちびっ子軍団である。
クールなブルー、ニヒルなブラック、乙女なピンク、お茶目なイエロー、
そして熱血リーダーのレッドの5種が確認されている。
レッドが通常のプチネロである。
他は新種なのか、成長するとみな同じ色になるのかはわかっていない。
このまま巨大化してほしくないというのが研究者らの本音である。
【百魔列伝】
アルカキルティ大平原に生息するゴブリンは肉食性であり、
罠をしかけて集団で魔物を狩るなど、高い知性を持つハンターである。
そのため狩猟民とは競合関係にある。
気候変動などで獲物が減ると生活圏を移動し、人里に現れるようになる。
高い確率で人間を襲う好戦的な種族であるため、この地を小人数で行動する時は注意が必要である。
【百魔列伝】
ガストをはじめとする「シ骸」は、ファルシが人間から創り出した怪物である。
ルシにされた人間が、与えられた使命を果たせなかった場合に「シ骸」と化す。
過去にファルシが関わった事件が起きた場所では、シ骸が多く見られる。
ファルシは時に、抵抗力のない人間を大量にシ骸に変えることがある。
人としての自由意志を奪い強制的に敵と戦わせるための、ファルシの緊急防御反応だといわれている。
【百魔列伝】
襲撃騎カラヴィンカは、旧コクーン聖府軍の精鋭PSICOMが配備していた強力な軍用獣である。
カタストロフィの際にすべて喪失したと考えられていたが、時空の狭間に迷い込んだ1騎存在した。
そしてカラヴィンカはよみがえった--- 新たな力とともに。
時の歪みを帯びたその翼は時空を引き裂く力を持ち、カラヴィンカが襲来した場所は、
空間そのものがずたずたに切り刻まれてしまう。
その被害がコクーン全域におよぶことなくビルジ遺跡近辺のみにとどめられたのは、非常な幸運と言えた。
【百魔列伝】
コクーンとパルスが争った黙示戦争は、カタストロフィの約700年前に起きた。
開戦の発端は従来パルスの侵攻とされてきたが、
パルスの記録は逆に「コクーンの悪魔の襲来」としていることがわかり、歴史家の意見も割れている。
パルス側は「空からの侵略」を極度に恐れ、戦争前から準備していたことがわかっている。
中でもインヴィンシブルは抜群の堅牢さを誇り、半壊しながらも敵のファルシを撃退した機体さえあったという。
これら古代兵器は地上での防衛戦に適し、空への侵攻には不向きなことから、
黙示戦争をしかけたのは実はコクーン側だったとする学説も浮上している。
【百魔列伝】
古代パドラの都に降りた魔獣ウガルルム。
多くのルシや猛者が挑んだが、討ち果たせなかった伝説の魔物である。
だがその真の脅威を知る者は、時詠みの巫女パドラ=ヌス・ユールだけであった。
ウガルルムは巫女のあった時代にあっては「未だ生まれざる魔獣」であり、存在自体がひとつの逆説となっていた。
魔獣の存在を抹消せねば、「時」に生じた小さなほころびがパドラ全体をおおいつくす---
恐るべき未来を予見した巫女は禁忌を破り、時空の狭間へと魔獣を封じる他なかった。
【百魔列伝】
オチューはグラン=パルスに生息する、植物型の野生の魔物である。
小型のオチューをコチューと呼ぶ他、近縁種のネオチュー、突然変異種のカオチューなどの種類がある。
オチューと他の近縁種の生活圏は一致し、棲み分け不可能なため、完全なライバル関係にある。
生存競争が激しいパルスでは魔物の進化が異常に早く、
わずか数年で古い種が新種にとってかわられるケースもみられるが、
オチューとネオチューの抗争は相当期間続いていることが確認されている。
【百魔列伝】
パドラの巫女に仕える戦士でありながら、敵にだまされ、巫女の命を危険にさらした娘がいた。
巫女は親しき友であった娘を許したが、娘はみずからファルシに願い、シ骸となって罪を償う道を選んだ。
ファルシへの祈りを終えた時、娘の脳中に不吉な声が響いた。
「娘よ、願いは聞き届けられた。汝は五感を奪われ、黒き業火に身を焦がしつつ、
永遠の闇をさまよう者となろう。汝の言葉は苦悶の旋律となり、汝の叫びは死の呪いとなる---
慈悲深き解放者が汝の魂を滅するその日まで」
【百魔列伝】
ロングイは、パルス最大の魔物のひとつである。
金剛亀類は死ぬまで成長を続けるため、
ひとまわり小さい「シャオロングイ」の中で特に長寿の個体がロングイになるという説と、
もともと別の種であるという説がある。
いずれの説も説得力のある証拠を持つが、検証に何百年もかかるため、いまだ論争に決着がついていない。
【百魔列伝】
アルカキルティ大平原は雷の日、表情を一変させる。
「冥翼の死神」の異名を持つ恐るべき死将・ヨミが現れるからである。
彼が雷の日にのみ現れるのは、生前の使命に理由がある。
ヨミは当代最強の英雄と謳われながら、平原で雷に打たれて倒れ、ついに使命を果たせなかったのだ。
最強の将にふさわしい舞台を与えられぬまま、みずからの倒れた地をさまよい続けるヨミ。
鳴り響く雷鳴にかき消され、彼の嘆きの咆哮は誰にも届かない。
【百魔列伝】
闇の召喚獣オーディン・ダスクは、AF10年、
ヴァイルピークスでブリッツ隊を呑みこんだ「黒い影」の正体。
ダスクは時を超えた存在であり、同時に複数の時代に存在しうる。
だがエネルギー源となるフラグメントは単一であり、これを奪われるとすべての時代で力を削がれるという。
【百魔列伝】
オーディン・ダスクは、召喚獣オーディンの幻影とも呼ぶべき邪悪な存在である。
その正体は、不可視世界から流れ込んだ不定形の混沌。
ヴァイルピークスに残る「時の記憶」を鋳型として、オーディンの姿を持つに到った。
「時の記憶」とは、コクーンを救ったとあるルシのものである。
彼女はヴァイルピークスで召喚獣オーディンと戦う試練を与えられ、これを乗り越えた。