第13日:逃避

ひとり街をさまよっていたヴァニラはパージを望み、自らの意思で列車に乗った。
パージとは下界への強制移住だという、聖府の発表を信じた彼女は、故郷に帰れると思ったのだ。
ファングを残してコクーンを去るのは気が引けたが、下界へ帰れば、ルシの使命も果たしようがなくなる。
現実を変えられないなら、せめて逃げることで運命に逆らおう---
4日前の出会いが彼女の背中を押した。