第13章:終焉の揺籃

ファルシ打倒を志した騎兵隊の兵士たちは、さまようシ骸と化した。
騎兵隊にオーファンを破壊させるつもりは毛頭なかった。
騎兵隊がオーファンを倒せばコクーンが滅ぶ---
そんな危機を演出して、ルシたちをおびき寄せる道具にすぎない。

バルトアンデルスは成功を確信している。
ルシたちは使命を果たす気がないようだが、その心を揺さぶって操るなど造作もない。
彼らが未来への希望を抱いているなら、未来を閉ざしてやればよい。
裏切られた希望はそのまま絶望に変じ、嘆きと怒りにとらわれた者が魔獣ラグナロクとなる。
その者がオーファンを討てばコクーンは滅び、数千万の命が捧げられて救いの神が降誕する。

終焉の時だ。
この日のためにコクーンを築いて人間を飼い、
下界のファルシが生んだルシたちを見守ってきたバルトアンデルスは、
コクーンを統御するファルシ=エデンに最後の命令を発した。

哀れなルシたちを導くのだ--- 死を夢みて眠る、オーファンの揺籃へ。