第6章:木洩れ日の逃走

明確な目的もないままに逃亡するサッズとヴァニラは、軍の飛空艇を目撃する。
どうやら軍はパルムポルムに集結しているらしい。
パルムポルムに向かっていたライトニングとホープが、発見されてしまったのだろうか?

心配ではあったが、助けに行って軍と戦うのも恐ろしい。
かといって無視もためらわれる--- サッズは今後の行動を決めかねた。
そんな迷いを読み取ったのか、ヴァニラは逃亡を提案してサッズの背中を押した。
できるだけ軍から離れるために、パルムポルムの反対方向にある都市ノーチラスをめざす。
サンレス水郷の木洩れ日を浴びて、ヴァニラは踊るように駆ける。

第6章:父子の見た花火

パルムポルムに集結する聖府軍から離れようと、サンレス水郷を行くヴァニラとサッズ。

ヴァニラの問いをきっかけに、サッズが思い出したのは、ドッジという名の息子だった。

夜空を染める花火のもとで、ドッジは父を心配して祈った。
健気な息子に微笑みかけて、つとめて明るくふるまうサッズだったが、彼の内心には計り知れない痛みがあった。

その痛みはいまだにサッズを苦しめている。
サッズの苦悩の正体は?
そして父子を見守っていた、PSICOMの将校は何者か?

第6章:ルシの父子

サッズは重い口を開き、息子ドッジを襲った運命を明かした。

下界のルシとみられる侵入者が、エウリーデ峡谷の施設を襲った際、
偶然その場に居合わせたドッジは、ファルシによってルシに選ばれ、今は聖府に保護されているという。

下界のルシであるサッズと敵対する存在---
聖府のルシとなったドッジには、下界の存在を感知する力がある。
ボーダムに埋もれた下界のファルシを発見したのも、実はドッジだったという。
だがドッジの正確な使命は判明しておらず、いずれシ骸になってしまう。

だからサッズはパージ列車に乗った。
ドッジの使命はファルシの破壊ではないか--- そう推理して、
ファルシが下界に運ばれる前に、無力なドッジの代わりに破壊するために。

あのファルシが滅んだ今、ドッジもセラのようにクリスタルと化したのだろうか?
しかしドッジが討つべき敵は、ファルシではなくルシかもしれない。

ならばサッズたちが死なないと、ドッジはシ骸になってしまう。

第6章:悲劇の発端は

下界からの侵入者が引き起こした、エウリーデ峡谷の事件に巻き込まれて、
サッズの息子ドッジは聖府のルシとなっていた。

ドッジの能力によって埋もれていた下界のファルシが発見され、それがきっかけでパージが起こった。
その渦中でホープの母ノラは命を落とし、ライトニングとスノウの眼前で、セラはクリスタルと化した。

彼らの運命を狂わせ、コクーンという社会全体を揺るがした悲劇--- その発端はエウリーデだ。
あの事件さえ起こらなければ、悲劇は避けられただろうか?

けれどいまさら何を悔やもうと、現実を覆せはしない。
サッズとヴァニラは残酷な現実から目を背けるように、夢の街ノーチラスへと向かう。

ルシたちの行く手に暗雲が垂れこめていた。
コクーン有数の大都市へ向かうライトニングとホープにも、動乱の嵐が迫る---