完結に向かう男

すべてを体験しつくしてこの世の終焉を迎えたいと願う男がいた。
彼は滅亡への恐怖が呼び寄せる、時空の外よりやってくる魔物の血肉を食し、
自分の肉体を壊れたこの世界の理から--- 時の停滞から逸脱させようと考えていた。
つまり、500年せき止められていた老化を味わい、寿命を尽き果てさせて死のうと。
狂気と紙一重の境地だが、つきつめればそれこそが、すべてを究めた者の好奇心の究極のゴールなのかもしれない。
あの不味そうな血肉を本当に食べることができるのかは、また別の話だろうが---