人間の時間は止まっていても、肉体を冒す病魔は進行する。 その病身の母親にとって、間もなく訪れるはずの「死」は苦痛から解放される安息の終着点だったのかもしれない。 だが、死者に託された幻の花・ファントムローズは彼女の気力を奮い立たせ、 世界の終わりまで病と闘って息子とともに過ごすことを決意させた。 苦しみにさいなまれようとも、彼女にとってこの選び取った時間が、幸福であってくれることを私は願う。 恐らくは花を遺したミュカも、きっと---