もはや存在しないはずのエトロの世界に魂を囚われてしまったフィリアーナは、
この世でただひとり正常な時間の流れに戻り、そのために婚約者の前から身を隠さなくてはならなくなった。
愛するがゆえに、老いて死にゆく自分の姿に恋人を落胆させたくないと考えたのだ。
孤独に取り残される、あるいはただひとり進みゆく悲しみ。
愛する者たちと寄り添い、同じ速さで歩めることこそが、人間にとっての幸福の正体なのかもしれない。
ならば私は? 世界が終わったその先で、セラや仲間たちとともに歩むことが、私に許されるのだろうか?