幻想のユートピア

老いのない世界--- まだコクーンで暮らしていた時代、もしもそんなことが実現したなら、
それは理想郷になるのではと夢想したことがある。
誰もが欲望から解き放たれ、支えあって暮らす満ち足りた社会が構築されるのだろう、と。
現実は違った壊れた世界で永遠を生きる者たちにも貧富の差は歴然と存在した。
救いの手が差し伸べられないことに絶望する者がいて、救済の信仰さえもが新たな不公平を生み出していた。
それでも、私は人の心に光が残されていると信じたい。
助け合い、理想へと近づいていこうとする意志が必ず潜んでいるのだと。