形見のカーバンクル人形

停滞した人生は、肉親との離別をいつまでも、昨日のことのように思い起こさせる。
無理矢理にかさぶたを剥がし、傷口を生々しく保つかのように。
今にも折れてしまいそうな、孤独な少女の気持ちを支えていたのは、混沌に呑まれた母親が残してくれた形見の人形だった。
そういえば、幼いころのセラもずっとぬいぐるみを抱えていた。
私たち姉妹の死んでしまった両親を、その温もりの中に探し求めるかのように---