時の流れは厳格であり、また慈母の優しさを宿している。 本当なら過ぎゆく時間は、忘却という名の慈悲を人間にあたえてくれる。 どんな悲しみも、どんな罪も、いつかは時が記憶から連れ去ってくれるのだ。 だが、それははるかいにしえの話になった。 人間は時の流れから外れ、永遠という名の檻に囚われている。 死者たちが叫ぶ魂の嘆きは、いつまでのヴァニラを罪の意識から解き放とうとはしない。