見守っていた男と、気づいていた女。
男がほんの少し勇気を振りしぼっていれば、ふたりはとっくにたがいの気持ちを確かめあえただろうに。
500年生きていてさえ、恋というのものはこうも人を臆病にさせてしまうものなのか。
それとも、告白が成就しなかったあとのことを考えると、寿命のないこの世界ではよけいに耐えがたいのかもしれない。
だが、聞くところによると、恋多き者たちは街のどこへ行っても元恋人と出くわす羽目になるらしい。
終わりのない時間の中では、想いがかなったとしても簡単じゃないということか---