私が知る世界では、老いとは誰もが恐れる「死」の象徴だった。
老化を止め、永遠の寿命が得られるとしたら、すべてを投げ出してもかまわないと考える者は少なくなかったはずだ。
だが、それが実現してしまったこの壊れた世界では、誰もが気づいている。
目的もなく続く不老は退屈と退廃の住処となる魂の牢獄なのだと。
生きることに飽きた者は安っぽいスリルを求め、たったひとつの命をまるで、
無価値な石ころのように狂気のゲームへの参加料としてさしだしてしまう。
そこに安らかな終焉などないとわかっていながら、「死」に魅入られてしまうのだ---