花火の記憶

夜空を彩る炎の大輪--- それは今夜も滞りなく、
ユスナーンの都は享楽の愉悦にひたるという意思表示だ。
私はなかばあきれながら、かつて見た花火の記憶をたぐり寄せる。
コクーンが空にあった時代の故郷・臨海都市ボーダムでは、年に一度、ホログラムの花火大会が開催されていた。
だが、ロマンチックな想い出なんて何も甦ってこない。
私は治安連隊のエクレール・ファロン軍曹として、その最後の夜を見守った---