私とセラは幼いころに親を亡くした。
だからこそ私は、少しでも早く一人前になって、親がわりとして妹を支えようと誓った。
人の時間が止まってしまった今の世界では、事故や病にでも襲われないかぎり、家族はいつまでも同じ関係性を保ちつづける。
老いることのない親と、見た目はもう変わらない子供---
意識して突き放さなければ、おたがいにそれ以上の成長は難しいのかもしれない。
ただ、私にはそれがうらやましくも思える。
家族がいつまでも変わらず、ともに過ごせる幸福は、この壊れた世界にしか存在しえないのだから---