チーム「ノラ」の魂は滅びず

懐かしく鼻腔をくすぐる香り--- それはもう失われてしまった故郷を思い出させた。
1000年の昔から受け継がれてきた料理、その名はノラ・スペシャル---
あの「ノラ」の、ボーダムの渚のカフェで生み出されたレシピが消え去ることなく伝えられていた。
セラ、おまえが私の21の誕生日に作ってくれた料理も、同じようないい匂いをただよわせていたっけ。
あのときはいきなりスノウと婚約したと打ち明けられて、怒りのあまりほとんど手をつけられなかった。
もしも次の機会が訪れるなら--- 許されるのであれば---
おまえの手料理をゆっくりと味わいたいと思う。
ささいなことで怒ったり笑ったりできる幸福を噛みしめながら。