もちろん名前もおぼえている

医術に携わる者は、この老いのない世界にあってさえ、命の灯火が消える瞬間に数多く立ち会うことになる。
ウィルダネスの過酷な自然の中で、ギサールは数え切れない死を看取ってきたのだろう。
かけがえのない大切な者までも失った彼は、それゆえ他人と距離を置こうとする。
自分を慕う助手たちを番号で呼び、必要以上に親しくなろうとはしない。
無意識に、かつての深い悲しみを避けようとしているのだろう。
けれど私にももう、彼の本質は理解できている。助手たちは、優秀で情に厚い師にめぐりあえたのだ。