天使の配達

それは最後のチャンス。
数百年に一度しか手に入らない材料を使って、余命いくばくもない女がわずかな時間しか保たない薬を作る。
人の脚ではたどりつけない秘境で呪いに苦しむ男に、罪を償わせるための秘薬---
だが、男が求めていた究極の苦痛と死は、その薬ではもたされなかった。
女が望んだのはそのような罰ではなかった。
私には、ふたりの間にどんな感情が横たわっているのか推し量る術はない。
ただ言えるのは--- チャンスは活かされた。