アンセムレポート6
扉を開いた夜に観測された、無数の流星。
それを構成していたとみられる物質について研究を進めている。
まったく未知の物質だ。弾力性に富んでおり、断片同士を密着させると容易に結合する。
文献をあたってみたものの、このような物質が採取された記録は存在しなかった。
私が扉を開いたことによって、初めて地上に降りそそいだということか。
この小さな世界をつつむ無限の空間には、こうした物質が無数に漂っているのだろうか。
できることなら夜空へ飛び立ち、真理を探求したいものだ。
あの天のどこかに、私の知らない世界があるのではないか。好奇心は強まるばかりだ。
---いや、かなわぬ夢を語るのはよそう。
世界の外に出る方法は、今のところ存在しない。
私も他の者たちも、この小さな世界にとらわれた囚人でしかない。