【紅玉の託宣】
「嘆きの紅玉」は、時の間隙に呑まれ、この世から失われた人々の悲しき記憶をとどめる宝珠である。
宙に浮かぶ赤色の不思議な球の姿を取り、感受性の強い者の心にはその嘆きが届くという。
紅玉は、時を封じる儀の代償として生み出される。
大いなるさだめを封じようとするならば、それに見合う供犠が要求されるであろう。
【紅玉の託宣】
「召喚獣」は、ヴァルハラに住まう獣である。
女神エトロに選ばれたルシは、召喚獣と戦う試練を与えられる。
試練に打ち勝ったルシは「秘石」を手にし、召喚獣を味方とすることができるであろう。
強者に弱者が従うのがヴァルハラの絶対の掟である。
召喚獣もこの掟に従って、不可視の世界から召喚に応じる。
【紅玉の託宣】
パドラの都には、大いなる神パルスの遣わせたファルシが鎮座する。
ファルシは時詠みの巫女に力を貸し、彼女の視たものを「予言の書」に記録する。
パドラの人々はファルシを敬い、その上に立つ大いなる神パルスにかしずく。
人々はファルシと時詠みの予言をあがめるが、巫女が仕える死の女神エトロのことは畏れている。
【紅玉の託宣】
古代には隕石を召喚し、敵の頭上に落とす恐るべき妖術が存在した。
召喚されるのはクリスタルを核とし、異空間で成長した巨大な結晶塊である。
核となったクリスタルの種類によって、隕石はさまざまな性質を帯びるという。
中でも「オーパーツ」と呼ばれる異界のクリスタルを核とする隕石は、
異なる時代に通じる神秘の扉を開くと伝えられる。
【紅玉の託宣】
パドラの比類なき英雄と唄われたカイアスは、時詠みの巫女に仕えた守護者である。
不敗の伝説を持ち、幾千の敵と斬り結んでも倒れなかったという彼は、
自身を「バラッド氏族のカイアス」と称した。だがその真の出自は不明である。
彼が「バラッド」を名乗るようになったのは、生涯でただ一度、敗北の危機を迎えた戦いからであった。
相手は同じ時詠み一族の戦士で、カイアスに果たし合いを挑み、あとひと太刀という間合いまで追いつめた。
だが不意の敵襲で果たし合いは中止され、戦士は乱戦の中、巫女をかばって死んだ。
カイアスは「死にべきは我、守護者カイアスだった」と好敵手を悼み、戦士の氏族名「バラッド」を引き継いだという。
【紅玉の託宣】
巫女パドラ=ヌス・ユールの残した言葉で最もよく知られているのは、
コクーンとのいくさで降臨した終末の魔獣、ラグナロクに関するものである。
巫女はこのいくさが現実となる前に、魔獣を呼び起こすふたりの娘の名を予言していた。
「北方より現れしユン氏族の黒髪の娘、そしてダイア氏族の赤髪の娘」という言及である。
予言が真実であったことは、後にヲルバ郷の神官らによって確かめられている。
【紅玉の託宣】
時詠みの巫女パドラ=ヌス・ユールは、栄華のさなかにあったパドラ市の滅亡を予言した。
皮肉にもこのことが内乱を招き、都は陥落への道を歩みはじめた。
自身の力が歴史に影響することを忌んだ巫女は、守護者の長カイアスら少数の護衛を連れ、ひそかに都を離れた。
巫女は顔をベールで覆い、その名から「パドラの民」を意味する冠を捨て、ただの時詠みの巫女ユールとなった。
つき従う者たちもそれに習い、以降は歴史の記録から姿を消した。
【時詠みの詩篇】
時詠みの秘なる言葉を、ここに伝える。
「時の扉」を越えうるのは、女神のあたえし混沌を宿す者のみである。
ファルシの強大な魔力をもってしても、彼らを呪い、その意志に反してしもべとすることは容易ではない。
彼らは、女神の加護を受けた者たちだからである。
【時詠みの詩篇】
時詠みの真なる言葉を、ここに伝える。
ルシの力がコクーンを揺るがす日、邪神の供犠とされた民を憐れみ、女神が手をさしのべるであろう。
その時ふたりの姉妹がヴァルハラの力に触れ、心に深き混沌を宿すこととなろう。
姉妹の衣に光るヴァルハラのしるしが、そのあかしである。
【時詠みの詩篇】
時詠みの聖なる言葉を、ここに伝える。
弱きものが強きものに従う、ヴァルハラの掟は絶対である。
ひとたび倒された魔物は、勝者に服従する。
心に大いなる混沌を宿す者ならば、たとえ不可視世界の外にあってもヴァルハラの魔を呼び出し、
掟に従わせることができるだろう。