クリスタルが語る、時の記憶。
セラとノエルが出た場所は、華やかな宮殿の入口だった。
だがその門は、堅く閉ざされたまま。
あたりに人の気配はなく、ふたりは引き返す他なかった---
古代の詩人は謳った。
生と死のあいだ、無と永劫の狭間にある、秘密の場所。
そこに、逸楽の宮殿があるという。
人ならざる支配人と、可憐なる娘らがもてなす、架空の桃源郷。
幸運の女神に導かれし者だけがたどり着ける、遊興の城。
物語の中にしか存在しないはずのその宮殿が今、目の前に広がっていた。
クリスタルが語る、時の記憶。
逸楽の宮殿に迷い込んだセラとノエル。
ふたりはカジノの景品の中に、パラドクス兵器を造るのに必要な結晶があることを知った。
最後の勝負に勝ち、求める品を手に入れたセラとノエルに、カジノの支配人が告げる。
ここは時のきまぐれが生んだ、やがて消える世界。
それでも、誰かの心に何かを残せば、この世界もまた、永遠になる。
支配人はそう言って、満足げに微笑むのだった。