ザナドゥ。
太古の詩人が夢見た都。
昼も夜もなく、ただ無限の歓びがある、逸楽の宮殿。
詩人は謳った。
不幸な死を迎えし者だけが、そこに招かれる。
死者たちはつかの間の幸福にひたり、最後の安息を得るのだと。
だが、何事にも例外がある。
いかなる「時」のきまぐれか、生きたままそこに迷い込んだ、不運な中年男がいた。
クリスタルが語る、時の記憶。
命を張った大勝負で、サッズはわが子を取り戻した。
その時、世界が揺れた。
時空をゆるがす異変が始まろうとしている。
彼の直感が、そう告げていた。
どんなに分が悪くとも、逃げてはならない勝負がある。
息子にそのことを身をもって伝えるべく、サッズは次の時代へと旅立つのだった。