第10章:ファルシの真意とは

無事に再会を果たしたものの、ライトニングたちは困惑していた。
聖府代表ダイスリーを演じたファルシ=バルトアンデルスの言葉が真実なら、彼らの使命はコクーン破壊だ。

かつてルシにされた時に幻視した魔獣ラグナロクに変身して、
コクーンを支える存在オーファンと戦い、コクーンもろとも滅ぼす---
そんな使命をわざわざ明かしたバルトアンデルスは、コクーンの崩壊を望むのか?

その真意は知りようもないが、ライトニングたちが人智を超える力で救われたのは事実だった。
彼らを乗せた飛空艇は導かれるように飛び、ロッシュ中佐の追撃をかわしてここへ着いた---
繁栄する首都エデンの陰に隠されていた、下界の異跡へ。

誰もが道を見失いかけていた。とりわけスノウの落胆は深い。
これまで彼が前向きであれたのは、コクーンを守ってセラの願いをかなえるのが使命だと信じていたからだ。

けれどセラもまたコクーンに害を及ぼす存在だった。
彼の信念は根底から覆されたのだ。

第10章:眠る力の異跡

ファングとヴァニラは故郷の伝説を思い出す--- ここはアークだ。
外敵との戦争に備えて生み出された兵器が眠る、グラン=パルスの軍事施設なのだ。

だがそれがなぜコクーン内にあるのだろう。
下界のファルシやヴァイルピークスの異物と同じくグラン=パルスから運ばれたようだが、
首都エデンの近くに下界の異跡が存在することが明らかになれば、聖府軍ですらパニックに陥るはずだ。
それとも聖府の人間さえも、アークの存在を知らされていないのかもしれない。

さらにアークは、ルシの力を強める場でもあった。
烙印が灼熱して、眠っていた力が解き放たれた時、ライトニングたちはファルシの思惑を理解し始める。

ダイスリー代表を装っていたファルシ=バルトアンデルスは、ルシたちが使命を果たすことを---
コクーンを滅ぼすことを望んでいるようだ。

ライトニングたちをアークへ転移させたのは、コクーンを砕く力を与えるためではないだろうか?

第10章:レインズの意志

ファルシと人間を創造した神は姿を消し、神なき世界は荒廃の一途をたどっている。
滅びゆく世界を救うには神を呼び戻すしかない。

神の帰還に必要な供犠は、数千万の生命--- コクーンに生きるすべての人々の死だ。
ファルシがコクーンで人間を養ってきたのは、神に捧げる犠牲者を養殖するためだった。

そして自己破壊を禁じられたファルシは、外敵を利用して破滅を実現しようとしている。
だから下界のルシたちを見守り、コクーンを砕く力を身につけるまで、ひそかに支援してきたのだという。

そんな真実を明かしたレインズ准将の正体は、バルトアンデルスに操られるルシだった。

使命に従ってライトニングたちを援助し、誘導してきた彼だったが、最後の意志でファルシへの反逆を決意したのだ。
ライトニングたちを討って、コクーンの滅亡を防ぐと。

レインズには人としての夢があった。
コクーンを救うという夢を懸けて戦い--- 敗れた彼は、クリスタルという永遠を手に入れる。

第10章:召喚獣バハムート

ルシの使命ではなく、人間としての意志を貫いてクリスタルとなったレインズの姿が、
信念を見失っていたスノウを立ち直らせた。

自分たちの使命がなんだろうと関係ない。
セラが託した願いを胸に、コクーンを守るという最初の決意を貫けばいい。
使命に背いてシ骸になっても、セラの願いに反してコクーンを滅ぼすよりはよかった。
セラに胸を張れる生き方を、最後まで貫くのだ。

しかしファングが異を唱える。
自分はともかく仲間がシ骸になるのは嫌だ。
使命を果たして仲間を助けるためなら、仲間と敵対してコクーンを滅ぼすとまで思いつめるファング。

苦悩が頂点に達した時、消えかけていた烙印が輝き、召喚獣バハムートが現れた。
召喚獣とは、迷えるルシを救う存在だという--- ルシを殺して苦悩を消すのだ。
自分だけでなくルシ全員の命が狙われていると悟り、ファングは思いを改めた。

かけがえのない仲間を助けたいという意志を貫き、召喚獣を撃破した彼女の前に、新たな道が開かれる。

第10章:グラン=パルスへ

ファルシたちは神の力による世界の再生をめざしている。

この世界を去った神を呼び戻すには、数千万人の死が必要だ。
神に捧げる犠牲者の養殖場としてコクーンを築いたファルシたちは、
自分たちを敵視する者--- 下界のルシを計画に利用しようと企んでいる。

ファルシは最初からライトニングたちを監視し、時には支援してきた。
軍の猛攻を生きのびられたのも、ファルシが糸を引いたからだろう。
聖府軍の軍人たちはファルシの真意を知らぬまま、下界のルシを鍛える道具として使い捨てにされたのだ。

ルシたちに打開策は見えない。
コクーン破壊の使命に背けばシ骸だが、ファルシの思惑に従えば多くの命が失われる。

彼らの支えは意志だけだった。
コクーンを守りたいと願ったレインズ---
そしてセラの思いを受け継ぎ、自分たちの意志で希望をつかむしかない。

召喚獣バハムートとの戦いをきっかけに対立を乗り越えて、彼らは未知なる大地グラン=パルスへ旅立つ---