第3章:ルシの烙印

ファルシの崩壊に巻き込まれた一同が、意識を取り戻した場所は、
ハングドエッジの直下に広がるビルジ湖だった。

滅びゆくファルシの魔力の影響なのか、その湖水はクリスタルと化して凍りついている。
はるかな高みから落下したにもかかわらず、命をとりとめた一同だったが、無事を喜ぶ余裕はない。

彼らの体には異様な烙印が出現していた。
ファルシに呪いをかけられ、魔法を操る忌むべき存在--- 下界のルシに変えられてしまった証だ。

ルシとなった以上、彼らには果たすべき使命があるはずだが、
一体どんな使命なのか、確実な答えは誰にもわからない。

唯一の手がかりは、全員が視た幻影--- コクーンを攻撃する魔獣ラグナロクの姿だ。

一同が不吉な宿命を予感する中、スノウだけは前向きだった。
セラの願いに従ってコクーンを守ること、それが自分の使命だと信じ、迷うことなくスノウは走る。

第3章:幻視した使命

下界のルシとなったライトニングたちが果たすべき使命とは何か?
その答えは誰も知らない。
確実なのは、コクーンを攻撃する魔獣ラグナロクに関係しているという点だけだ。

スノウは「ルシの力でラグナロクを倒してコクーンを守る」ことが使命だと語るが、
その主張には無理があった。
下界の存在はコクーンの敵だ。
コクーンを守るという使命などありえない。

それでも主張を曲げないスノウに、ライトニングは憤りをぶつける。
彼女にとってファルシとは、自分たちをルシにしただけでなく、妹セラをも奪った敵だ。
おとなしくファルシの命令に従うなど、とうてい納得できはしない。
セラを奪ったファルシの命令に、進んで従おうとするスノウの態度が不愉快だった。

だが口論している時間はない。聖府軍の追撃が迫っている。
今は結論を先送りにして、生きのびるために逃げるしかない。

第3章:決意と別離

死んでいるのか、眠っているのか--- 物言わぬクリスタルの彫像と化して、セラは結晶に埋もれていた。

できることなら離れたくない。
それでもライトニングは妹に別れを告げた。
軍の追撃が迫っているのだ。セラを運んでいてはとても逃げ切れない。
それは苦渋の決断だった。

だがスノウはセラを置き去りにできなかった。
この場に残ってセラを守り、さらにはコクーンをも守って、セラの願いをかなえると宣言するスノウ。

揺るがぬ決意を感じ取ったのか、ライトニングたちは静かに去る。
こうしてルシたちの運命は分かれた。

ホープはとぼとぼと歩き出す。
機会は何度もあったのに、結局スノウに告げられなかった。

母はおまえのせいで死んだ、と。

第3章:聖府軍の重囲

スノウをセラのもとに残して、ビルジ湖を落ちのびていくライトニングたちは、聖府軍の大部隊を目撃する。

パージの生き残りを抹殺するために、聖府は過剰なまでの兵力を投入していた。
コクーンという社会は、それほどまでに下界を憎み、恐れている。
ほんのわずかでも下界に関わった者は、存在すら許されないのだ。

だからこそパージは始まった。
下界のファルシの近くで暮らしていただけで、都市ひとつの住民全員を排除するという、
常軌を逸した政策がまかりとおったのは、コクーンの人間すべてが下界を極度に恐れているからだ。

大衆の恐怖に後押しされて、聖府を運営する人間たちはパージを実行した。
聖府を指導するファルシ=エデンもそれを黙認した。

ライトニングたちを追いつめる聖府軍の包囲網---
その背後にうごめくのは、下界を恐れるコクーン市民の、底知れぬ敵意だった。

第3章:空への脱出

ファルシに呪いをかけられて、ライトニングたちは下界のルシとなった。

使命を達成できなければ、ルシはおぞましいシ骸と化す。
だが使命とは何か誰にもわからない。
唯一の手がかりは、魔獣ラグナロクがコクーンを引き裂く幻視だけだ。

伝説を信じるなら、下界のルシとはコクーンの敵だ。
彼らが果たすべき使命とは、コクーンの滅亡なのだろうか?

けれどスノウの答えは違う。
彼らと同じルシだったセラに託された願い--- コクーンを守る。
その実現が自分たちの使命だと信じた。

とはいえ彼の論理はあまりに飛躍している。
ライトニングたちとの間に、理解しあえない溝が広がった。

聖府軍の追撃が迫る。
逃亡するライトニングたちは、数百年前に起こった下界との戦争で傷ついた都市の遺跡を抜け、
偶然発見した飛空艇で飛び立つ。

一方ライトニングたちと別れて、ひとりセラのもとに残ったスノウは---

第3章:召喚獣シヴァ

スノウに疑いはなかった。
自分たちは下界のルシだが、決してコクーンの敵ではない。
魔獣ラグナロクを倒してコクーンを守ることが使命なのだと信じる根拠はセラの言葉だ。
コクーンを守ってほしいと言い残し、セラはクリスタルになった。

ライトニングたちと別れ、クリスタルと化したセラのもとに残ったスノウ。
押し寄せるPSICOMに追いつめられた彼が膝を屈したその時異変が起きた。

無力なスノウを冷笑するように出現する召喚獣シヴァ。
シヴァは兵士を蹴散らし、スノウをも襲う。

奮起したスノウはシヴァを倒すが、正体不明の聖府軍部隊に捕らえられる。
部隊に加わる謎の女性--- 彼女もまた、ルシであった。

一方、飛空艇で逃亡するライトニングたちは軍の追撃を振り切れずにいた。
執拗な敵の攻撃を浴び、飛空艇は墜落していく---