その男の悲しみを癒したのは、夜空に咲き誇る色とりどりの光の華だった。 恋人と見上げるはずだった、ユスナーンの宴を彩る花火。 彼の魂が救われたのも、私が恋人の代役を務めたからではないだろう。 永遠の停滞に支配されたこの世界で、刹那に咲いて消えゆく花火は、つらい記憶をわずかながら忘れさせる美を網膜に刻む。 これを夜ごと打ち上げる指示を出しているのが太守であるなら、 あいつは--- スノウは、セラを失った痛みをせめて和らげたいと願ったのだろうか---?