「守護者の選択」

不可視の混沌の正体は、過去に無数の転生を繰り返したユールの魂の集合体であった。
無数のユールが抱いた「カイアスに逢いたい」という想いが、
本来なら別々であるはずの魂をひとつに束ね、分離不可能な強大な混沌を形成したのだ。

もしカイアスが新たなる世界に転生すれば、「ユールたち」もまた追ってくるだろう。
そうなれば新世界も現在の世界と同じように破壊される。
カイアスがこの場にとどまることを選んだのは、新たな天地のゆくすえを案じてのことなのか。
それとも、もはや肉体を持てぬユールと、永遠にともにあることを望んだゆえのことなのだろうか?