此度のマスター承認の知らせ、誠に感謝している。
先代マスターから正統後継者としてその座をまかされ、その重責の下、次代のマスターの育成、苦労も多かった事であろう。
お主には、かつて意見の対立によって怪我まで負わせ、数年前の強引な願いも聞き入れてもらったままであったな。
まともな謝罪も礼もできずにいるこの愚かな兄弟子を、何も責める事なく、こうして承認式に招いてくれ、
是非、直接祝福を伝えに参加させてもらおうと思う。
やはり、我らが師の後継者選びに間違いはなかった。
代々、我らは光の監視者として、世界を影ながら見守るという皮肉な立場ではあるが、
お主のその慈愛の心、そして光への忠誠心には感服するばかりだ。
世界を巡る身となり、この光の世界に潜む闇も多く、見てきたが、最近、闇の動向が激しくなったように思う。
イェン・シッドからすでに聞いているかもしれんが、アンヴァース---、負の感情から溢れだす、生命に精通しない者。
その魔物たちの気配を世界各地で感じ始めているのだ。
そして、闇の気配に関して今回の承認に一つ心配事がある。
数年前にその地を訪れた際見かけた、テラという弟子の事だ。
テラは確かに大きな力をその身に秘めておるが、その心の内に眠る闇を感じたのだ。
余計な世話かもしれぬが、このままテラをマスターとして承認するには不安が残る。
そこで、承認試験を行ってはどうだろうか?
お主の目によってそれを最終判断してもらいたい。
それでは、久しぶりの再会を楽しみにしている。
