長年にわたる努力が実を結び、私の治めるこの世界は"輝ける庭"と呼ぶにふさわしい楽園となった。
生命の根源たる清らかな水にはぐくまれて、香り高き花々が咲きみだれ、
民は誰もが希望に満ちた笑顔で日々を過ごしている。
だが光あるところには必ず闇がひそむ。
先日のレポートにも記したが、この楽園を守るためにも、私は"人の心の闇"の謎を解き明かさねばならない。
まずは人の心の奥底をさぐる実験を行おう。
我が6人の弟子のひとりであるゼアノートが、自ら被験者に志願してくれた。
数年前に行き倒れていたところを救って以来、私に仕えてくれている青年である。
あの時、彼はいっさいの記憶を失っていたがその後めざましい探究心を示し、
私の教えをまたたく間に吸収して深い知識を身につけた。
いささか精神的に未熟な点もあるが、それは若さゆえの問題であろう。
心理実験によってゼアノートの心をさぐれば、心の奥に閉ざされた過去が呼びさまされるかもしれない。
弟子のひとりエヴェンも、ゼアノートの記憶に強い興味を抱いているようだ。
けれど本当に彼でよいのだろうか。
たしかにゼアノートはたぐいまれなる才能の持ち主ではあるが------。
優秀すぎるのだ。人を超えたほどに。
