忘却の城でかつての友と再会したが、私は素性を明かすことができなかった。
もし彼が事情を知れば、復讐にとりつかれた私を止めようとしたであろう。
あの頃のように彼との語らいを楽しみたくもあったが------残念ながら、もはやかなわぬ夢だ。
友はそれまで闇の世界で戦っていた。
おそらく"トラヴァースタウン"から闇の世界に入ったものと思われる。
忘却の城と同じく、あの街は光と闇の狭間の世界だ。
ハートレスに心を奪われて失われた世界の欠片が集まって生じた世界。
世界の消滅から、かろうじて脱出できた人々がたどりつく場所。
狭間の世界は実に不安定であり、しばしば闇の回廊が口を開ける。
どこかの世界が消えるたび、失われた世界から闇の回廊を通じて流れつく者がいたはずだ。
ソラが初めてトラヴァースタウンに流れついた時も、闇の回廊を通ったに違いない。
闇の世界で戦っていた友は、XIII機関が接続した闇の回廊をたどって忘却の城へ現れたようだ。
新たな協力者、リクもまた闇の回廊から帰還を果たした者だ。
彼は無二の親友であるソラのためなら、協力を惜しまないと約束してくれた。
実はソラの記憶の再生が遅れている。
そこでリクに、もうひとりのソラ------ソラのノーバディを連れてくるように頼んだ。
私が目的を達成するには、ソラの存在が不可欠なのだ。
光の世界を飛びまわり、XIII機関を倒すキーブレードの勇者が。
